老人と爪楊枝には注意しなくてはいけないという教訓

先日、札幌市役所地下にある食堂で昼食をとりました。
「地下にある食堂」とは言い条、パティオに面した大きな窓がある開放的な明るい食堂です。地下というのは建物の構造上のハナシであり、感覚的には「一階にある」という気すらします。札幌市役所の一階のフロア自体、ちょっと高いところにありますからね。

さて、ハンサムで上品な中年紳士は明るい窓際の席に座りました。本当の窓際は日差しが強すぎるし先客がいたので、ふたつほどあけたトコロに着席。反対隣には老父夫婦がテーブルをはさんで座っていました。

さあ、お昼ごはんだ!と上品に箸をとりあげたその瞬間、「チャッチャー、チャッチャー」という音が聞こえてきました。
応援団がやってきてお昼の早食い競争の応援をしているのではありません。老夫婦の片割れの男性、つまりどっかのジーサンが爪楊枝で歯をせせっていたのです。
年を取ると歯と歯の隙間や歯に被せた冠と歯茎の隙間に細かい食べ物がはさまることはよくわかります。年配からみて入れ歯の具合が悪いことも想像に難くない。
そうした不具合は不愉快であろう。理解できます。

それにしたってそんなに盛大な音をたてることはないだろう?


漫画家の東海林さだお氏は、中年サラリーマンの下品な行為として「食後に爪楊枝でシーハー」と歯をせせる描写をよくしていました。

トコロガシカシ。
今回、ハンサムで上品な中年紳士が遭遇したジーサンは、「シーハー」どころじゃなかったから始末に悪い。
「チャッチャー、チャッチャー」とやられると、かなり食欲が減退します。
一緒にいる老夫婦のもう一方の片割れ、つまりバーサンが注意してくれないかな、と期待したのですが。
バーサンは食後の薬をチェックするのに忙しくて、ジーサンの「チャッチャー」を注意するどころではなかった。
薬はざっと7~8種類はあって、間違えないように忘れないように喉につまらないように飲むのは大変そうでした。そういえば、ハンサムで上品な中年紳士も昼食後にはニコランジェル(狭心症の薬)を飲むのを忘れてはいけないのでした。

それから少しして、「チャッチャー」ジーサンは、薬を飲み終えた老妻を連れて立ち去りました。

やれやれ、やっと落ち着いて昼食を食べられるぞ、と思った時にはあらかた食べ終えてましたよ。